白色発動機

125ccオフ車であちこちツーリングするにっき

6日目、知床峠を超える(知床斜里から帯広)

 125ツーリストの朝は早い。高速道路をつかえない都合上、早朝に起床して距離を稼がないと、移動距離の制約が増えてしまう。ビジホ泊のこの旅では、なるべく遮光カーテンを閉じずに眠るよう努めていた。
 この日も5時に目覚めた。この時期の北海道、日の出は4時ごろ。窓の外は明るいが、日差しは感じない。雨の音も聞こえる。昨日の天気予報では午前中から昼のどこかで晴れるといっていた。風呂にはいったり、駅前のパン屋で買ったパンをもぐもぐしたりしつつ、GPVをチェックして、いつ晴れるかを検討する。

 過去に知床峠を通過したときはどれも雨だったのだ。なんとか今回は晴れの知床峠にいってみたいと思っていた。GPVを信じて、9時に道の駅うとろ・シリエトクにつくだろうスケジュールで出発した。
 出発時点で雨はやみ、風も吹いて路面はハーフウェットからドライにかわりつつあった。東に進むにつれて、雲はどんどん消えていく。結果これだ。


 たいへんめでたい。

知床峠を越える

 写真でごらんください。
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# 斜里からウトロに向かうR334。朝凪のぺたっとした水面が印象的

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# R334、知床横断道路の入り口。法面が整形されているあそこを走っていくのだ

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# だいぶ登って、知床峠駐車場手前。正面に見える雲がかかっている山は羅臼岳

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# 知床峠駐車場を過ぎて羅臼側に降りはじめたところ。この残雪の間の道を進んでいく

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# 振り返って羅臼岳再び。このカーブを走ってきた

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# 羅臼側に降りていく道の様子。こっちはすっかりドライだった

 ワインディングとしても楽しい道である。とはいえ荷物積んでいるし、こんな遠い場所で絶対コケるわけにいかない。景色を楽しみながら、ときどき止まって写真撮ったりして、全部リーンウィズでていねいにていねいに走った。できれば往復したかったけど、その時間はなく、次にすすむ。

ダートを登ってホットドッグ

 さて、峠を下りたら霧の羅臼であった。途上、ナイスな温泉があるのは知っていたが、今日の宿は帯広市内。明日の夕方にはフェリーに乗船する都合上、さっさと進まなければならない。また、十勝平野にはすばらしくおいしいものがたくさんある。これまでの北海道経験を活かして、食にこだわりつつ距離を稼ぐことにした。
 標津を過ぎたあたりで霧も晴れ、北海道らしい直線を飽きるくらい走ったら、今日のランチポイント、開陽台である。ミツバチ族の伝説の地とかは私にはわりとどうでもよく、ここのホットドッグがうまいらしいが未食であることが重要だった。坂を登って駐車場にバイクをとめて、さて階段を上るかと思ったら「バイクは登れるよ」的な看板がトイレの横にある。徒歩で偵察してみると、やや掘れた土の道。雨で濡れてるがドロドロではなく、勾配もそんなにきつくもない。逡巡する間もなくあっさり登る。こういうとき軽い125は気楽でよい。
 バイクで登りおえると、空と雲と草で幼稚園児の風景画みたいな様子が360度ひろがる。


 狙いのチーズドッグはたいへんすばらしかった。よいパン、よいソーセージ、よいチーズ、よいハチミツである。ホットドッグ好きならまちがいなくおすすめ。
 マスターによると「うちでとってるハチミツ」だそうだ。クローバーのハチミツがある時期に再訪したい。
 なおさっきの道の下りは、一瞬フロントすべらしてひやっとした。調子にのるものではない。

くいだおれ平野、十勝

 いい道にいい食事ですっかり満足したはずが、十勝平野にはおいしいものがたくさんある。明日の夕方にはフェリーだ。なぜか焦って「たくさんたべなければならない」という使命感が脳内に発生する。貧乏性というのは簡単になおるものではないようだ。
 というわけで、摩周湖や阿寒湖は華麗にスルーしながらR241を西へ突き進む。とちゅう足寄の道の駅でチーズやらをおやつにほおばり、さらにR242で帯広市内に突入した。豚丼を食べるしかない。
 すっかりバカになってたので、今日の夜ご飯は豚丼2杯である。1杯目は「ぶた丼のとん田」のバラぶた丼。
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 うまい。上質の肉、上質の脂がタレとともにご飯を加速させる。テーブルには3種類の香辛料——山椒の粉、胡椒、にんにく一味、がおいてあり、ブタの脂との相性はきわめてよい。とくに「にんにく一味」がご飯を急加速させるので危険である。あっというまにたいらげた。
 2杯目は元祖な「豚丼のぱんちょう」で梅。松竹梅でお肉の量が変わるというメニュー構成である。梅でもこの量だ。これにナメコ汁をつけた。
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 やはりうまい。炭火焼きのフレーバーが豚肉をつつむ。歯ごたえはしっかり。逆にそれがうまみをより深く体験させる。加水たっぷりで炊かれた米は寿司米のように甘く、グリーンピースは見た目よりも鮮やかな香りをはなつ。ナメコ汁は味噌も出汁もナメコも完璧だ。老舗えらい。
 こうして美味しんぼごっこを楽しみつつ、3杯目いこうかと思った。ところが、ここで冷静さが発揮された。ビジホの温泉につかっておとなしく眠る。

 明日はフェリー乗船日。帰りたくない。

今日のメモ

主なルート: 知床斜里->R334->知床峠->R335->r1145->r975->開陽台->r150->r885->R243->摩周湖->R241->阿寒湖->R241->足寄->R242->r73->帯広
走行距離:350kmくらい
天気: 雨->曇り->晴れ->霧->晴れ
気温: 13度〜24度

5日目、オホーツクを南下(稚内から知床斜里)

 稚内の温泉ビジホで目標達成のさわやかな目覚めである。朝風呂をあびて、出発の準備をする。5日目ともなるとパッキングがこなれてきて、よくつかうもの、あんまり使わないもののソートがほぼできてきた。そこでふと気づいた。過剰な防寒装備と、過剰な雨対策を捨て去れば、荷物を一つ減らせる。
 昨日の夜、荷物を降ろして宗谷岬にいったときに、広くなったシートの快適さと、軽量化による気持ちよさの両方を体験していた。そう思ったときには、宅急便伝票を書いて自宅宛に発送していた。ビジホ泊ならコインランドリーの毎日運用で着替えが1日分ですむのも大きい。旅は身軽に、である。
 身軽になった勢いで宿を出て朝ご飯。最北端のふてぶてしいやつに会いにいった。


 エッグマックマフィンおいしい(ツイストもすきです)。

最北端イベント

 さて、昨日やりのこした最北端イベントを堪能する。具体的には

  • ステッカーの購入
  • 最北端ガソリンスタンドでの給油
  • 宗谷丘陵を走る

の3つである。どれもエンジョイできた。宗谷丘陵はめっちゃいい道だが風がすごくて若干つらかった。右にバンクしながら左にカーブしたのははじめてである。

エサヌカ線

 今日の旅路は網走を越えて知床斜里まで。明日の知床峠チャレンジをにらんで移動である。例によってひたすら走る。あいかわらず強風で、しかも風向きが変わって真横になった。対応できる余裕は増えたものの、丘の稜線で突風をもらったときはちょっとびっくりした。風下側にマージンとりながらつきすすむ。
 猿払を過ぎて、エサヌカ線に入った。わかりやすくいい道である。北海道らしい。



 対向するカブの若者が全力笑顔で全力ヤエーしてきた。にこやかに返した。天気はいいが相変わらず横風がつよい。たんたんと走る。

今日のランチとおやつ

 お昼ご飯どき、さしかかった枝幸に魅力ある食事処はみあたらず、セイコマ豚丼を購入。道の駅マリーンアイランド岡島で食べることにした。


 天気と眺めがよければおいしい。建物の影で風が防げるのもうれしかった。食後は芝生に寝転んでのんびりした。
 そしてまた南に向かう。牧草地と牛が増えてきた。おやつに興部のソフトクリームをねらうことにした。
 これはほんとうに素晴らしかった。十勝の乳製品と違って、草の香りがより強い。そしてうまみがすごい。人生ベストソフトクリームといえる。どんくらいベストかっていうと、日世のコーンにつかわれてる香料がじゃまなくらいってよくわからないなすいません。

クンロクに遭遇

 ほいでもって、しつこく南に走る。ツーリングマップルには「単調な」とか書いてあって、実際その通りである。ここを通るのは3度目だが毎回退屈だ。明るい時間に通るのははじめてなのでまだマシかもしれない。そんなこんなしていたら、蒸気機関車がどーんといた。



 よこに博物館的な施設もあるので入ってみた。
 展示はけっこう興味深いものの、北海道の鉄道史が頭にはいっていないと解読できない感じがある。マニアな人のみにおすすめ。


網走過ぎて知床斜里

 しつこく走っているうちに網走市街。ひさしぶりだなーなんて思いながら斜里の駅についたら、えらいかっこよくなっていた。駅前のルートインに入って温泉につかる。あとは天気予報とにらめっこである。いついけば晴れた知床峠を走れるのか…。

今日のメモ

走行距離: 400.9km
主なルート: 稚内->R238->宗谷岬->宗谷丘陵->エサヌカ線->ひたすらR238->網走->R244->斜里
天気: 曇りと晴れ。すげー強風
気温: 14度〜25度

4日目、最北端へ(札幌から稚内)

 札幌市内の宿泊は、温泉併設のビジホにした。

 安く泊まれるならいい宿である。この朝もひとっ風呂浴びて、朝食バイキングを決めてから走り出す。充電完璧である。キャンプではこうはいかないことがある。このトレードオフは難しい。

試される大地(風編)

 札幌市内は何度も来てるだけあって快適に走る。道を知っているというのは大きい。たとえば北に効率よく向かうには、創成川通り、トンネルの入り口だってことをなんとなく覚えている。京都でいえば烏丸より堀川がはやい、みたいなもんである(わかりにくい)。
 市内を抜け出して、R231にノーズを向ける。石狩川を渡る橋で、これまで経験したことがない横風にみまわれた。


 横風はこの日ずっとつきあうことになった。煽られてはおりゃおりゃと進路を直す。そのうちに、フライトシミュレータの横風着陸のシナリオをずっとやってるみたいなもんだってこと、風の息継ぎは関東や関西とあまりかわらないこと、ウインド・アビームで走るディンギーでもっと強風でもひっくり返らなかったことなどを思い出したら、まあふつうに走れるようになった。とはいえ相対風としては向かい風成分が増えていてパワーは食われる。がんばって走る感じにはなる。まあ心が負けたら負けである。危険の感性評価がズレるのはまずいけど。

昼ご飯は増毛

 天気は快晴。横風もらいつつ、日本海の眺めを楽しみながら走っていたら、ランチのタイミングで増毛についた。駅舎を眺めたあと、適当にぐぐって「まつくら」にいってみようと決めた。

 メニューをみてみると、甘エビたくさんとウニをのせた「うにエビ丼」というのがある。なんだその好物オンリー丼は。



 ほんと夜ご飯はセイコマでいいからランチで贅沢すべき。ベストご飯これでした。

ブログのための写真撮る

 この旅の隠れ目的に、バイクがきれいなうちに、バイクの写真をとっておきたい、というのがあった。ブログのヘッダ画や、Twitterプロフィール画像にするのである。そんな目的を思い出していい光を選べるロケをさがしつつ走る。すると苫前でいい感じの場所をみつけた。

 そして撮る。
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# 25年前のレンズだけどよく写りますね。よく雑誌の人がやってるみたいにサイドスタンドに石はさんでもうすこし立てたかったんですけど、強風だったのでリスクとりませんでした

ひたすら北へ

 いい画が撮れたと思った瞬間に荷物をたたんで、さっさと走り出した。あいかわらずの強風、天気は悪化してくる。ライダーとはほとんどすれ違わない。寒くなって道の駅てしおに入ってみると、なんとキャンプ道具満載のGN125が! ピンクナンバーに親近感を覚える。オーナーさんは若いお兄さんであった。稚内でキャンプして南下中とのこと。道の状況などの情報を交換してお互いの安全を祈る。
 道の駅てしおを出て、オロロンラインを北へ突き進む。右は原野、左は日本海という晴れていればナイスな道だが、曇り、小雨、横風が強風とあまり楽しい雰囲気ではない。稚内までの残り距離をにらみながら走る。そうこうしているうちに稚内市内についた。時刻は17:00。日没は北緯45度のここでは19時過ぎである。ホテルに重い荷物を降ろして、宗谷岬に向かうことにした。

ついた!

 荷物とおろし、追い風に変わったこともあって、宗谷岬までの道のりは極めてかんたんに感じた。見覚えのあるカーブをすぎてその先のはず、と思ったら、あっけなく最北端のアレがみえた。エンジンをとめて、アレの前までバイクを押していく。


 本当についてしまった。計画通りであっけないというか、やればできるもんだというか、そんな感じである。ステッカーを買おうかと思ったら例の青い売店はもうしまっていた。明日くればいいやということで、そそくさと稚内に戻る。
 稚内への戻り道は、強烈な向かい風であった。5速巡航でトルク負けして、4速に落としつつ、セイコマによって買い出し。ホテルに戻って風呂に入り、セイコマフルコースでささやかな祝杯(2度目)を楽しんだ。温泉を楽しむには寒いくらいがちょうどいいかもしれない。

今日のメモ

主なルート: 札幌->R231->R232->r106->稚内->R238->宗谷岬->R238->稚内
走行距離: 396.6km
天気:晴れ、曇り、小雨