6日目、知床峠を超える(知床斜里から帯広)
125ツーリストの朝は早い。高速道路をつかえない都合上、早朝に起床して距離を稼がないと、移動距離の制約が増えてしまう。ビジホ泊のこの旅では、なるべく遮光カーテンを閉じずに眠るよう努めていた。
この日も5時に目覚めた。この時期の北海道、日の出は4時ごろ。窓の外は明るいが、日差しは感じない。雨の音も聞こえる。昨日の天気予報では午前中から昼のどこかで晴れるといっていた。風呂にはいったり、駅前のパン屋で買ったパンをもぐもぐしたりしつつ、GPVをチェックして、いつ晴れるかを検討する。
9時には晴れるんだなほんとだな(予想です) pic.twitter.com/OOjAsJkqQN
— 白ハツ (@shirohatu) 2016年5月26日
過去に知床峠を通過したときはどれも雨だったのだ。なんとか今回は晴れの知床峠にいってみたいと思っていた。GPVを信じて、9時に道の駅うとろ・シリエトクにつくだろうスケジュールで出発した。
出発時点で雨はやみ、風も吹いて路面はハーフウェットからドライにかわりつつあった。東に進むにつれて、雲はどんどん消えていく。結果これだ。
道の駅うとろ・シリエトク。はれたよ! pic.twitter.com/4e8SKnIFgm
— 白ハツ (@shirohatu) 2016年5月27日
たいへんめでたい。
知床峠を越える
写真でごらんください。
# 斜里からウトロに向かうR334。朝凪のぺたっとした水面が印象的
# R334、知床横断道路の入り口。法面が整形されているあそこを走っていくのだ
# だいぶ登って、知床峠駐車場手前。正面に見える雲がかかっている山は羅臼岳
# 知床峠駐車場を過ぎて羅臼側に降りはじめたところ。この残雪の間の道を進んでいく
# 振り返って羅臼岳再び。このカーブを走ってきた
# 羅臼側に降りていく道の様子。こっちはすっかりドライだった
ワインディングとしても楽しい道である。とはいえ荷物積んでいるし、こんな遠い場所で絶対コケるわけにいかない。景色を楽しみながら、ときどき止まって写真撮ったりして、全部リーンウィズでていねいにていねいに走った。できれば往復したかったけど、その時間はなく、次にすすむ。
ダートを登ってホットドッグ
さて、峠を下りたら霧の羅臼であった。途上、ナイスな温泉があるのは知っていたが、今日の宿は帯広市内。明日の夕方にはフェリーに乗船する都合上、さっさと進まなければならない。また、十勝平野にはすばらしくおいしいものがたくさんある。これまでの北海道経験を活かして、食にこだわりつつ距離を稼ぐことにした。
標津を過ぎたあたりで霧も晴れ、北海道らしい直線を飽きるくらい走ったら、今日のランチポイント、開陽台である。ミツバチ族の伝説の地とかは私にはわりとどうでもよく、ここのホットドッグがうまいらしいが未食であることが重要だった。坂を登って駐車場にバイクをとめて、さて階段を上るかと思ったら「バイクは登れるよ」的な看板がトイレの横にある。徒歩で偵察してみると、やや掘れた土の道。雨で濡れてるがドロドロではなく、勾配もそんなにきつくもない。逡巡する間もなくあっさり登る。こういうとき軽い125は気楽でよい。
バイクで登りおえると、空と雲と草で幼稚園児の風景画みたいな様子が360度ひろがる。
開陽台ついた。ごはんたべる pic.twitter.com/VhjoOsWqvC
— 白ハツ (@shirohatu) 2016年5月27日
狙いのチーズドッグはたいへんすばらしかった。よいパン、よいソーセージ、よいチーズ、よいハチミツである。ホットドッグ好きならまちがいなくおすすめ。
うめえな pic.twitter.com/6b1q1iR0Eo
— 白ハツ (@shirohatu) 2016年5月27日
マスターによると「うちでとってるハチミツ」だそうだ。クローバーのハチミツがある時期に再訪したい。
なおさっきの道の下りは、一瞬フロントすべらしてひやっとした。調子にのるものではない。
くいだおれ平野、十勝
いい道にいい食事ですっかり満足したはずが、十勝平野にはおいしいものがたくさんある。明日の夕方にはフェリーだ。なぜか焦って「たくさんたべなければならない」という使命感が脳内に発生する。貧乏性というのは簡単になおるものではないようだ。
というわけで、摩周湖や阿寒湖は華麗にスルーしながらR241を西へ突き進む。とちゅう足寄の道の駅でチーズやらをおやつにほおばり、さらにR242で帯広市内に突入した。豚丼を食べるしかない。
すっかりバカになってたので、今日の夜ご飯は豚丼2杯である。1杯目は「ぶた丼のとん田」のバラぶた丼。
うまい。上質の肉、上質の脂がタレとともにご飯を加速させる。テーブルには3種類の香辛料——山椒の粉、胡椒、にんにく一味、がおいてあり、ブタの脂との相性はきわめてよい。とくに「にんにく一味」がご飯を急加速させるので危険である。あっというまにたいらげた。
2杯目は元祖な「豚丼のぱんちょう」で梅。松竹梅でお肉の量が変わるというメニュー構成である。梅でもこの量だ。これにナメコ汁をつけた。
やはりうまい。炭火焼きのフレーバーが豚肉をつつむ。歯ごたえはしっかり。逆にそれがうまみをより深く体験させる。加水たっぷりで炊かれた米は寿司米のように甘く、グリーンピースは見た目よりも鮮やかな香りをはなつ。ナメコ汁は味噌も出汁もナメコも完璧だ。老舗えらい。
こうして美味しんぼごっこを楽しみつつ、3杯目いこうかと思った。ところが、ここで冷静さが発揮された。ビジホの温泉につかっておとなしく眠る。
明日はフェリー乗船日。帰りたくない。